外見と採用率

外見と採用率

「あの会社は顔採用をしているのではないか」という、まことしやかなうわさ話が話題になることがあります。
では、本当にそういう会社があるのかといえば、答えは「イエス」。どうしてきっぱり答えられるのかといえば、私自身が人事採用コンサルティング会社に在籍した経験があり、外部・内部の人事採用に長年かかわってきたためです。ただし、誤解の無いように書きますが、私が顔採用と言っているのは単なる顔の目鼻立ちの美しさによる採用ではなく、表情の良し悪しによる採用です。つまり、どんなに美しい顔立ちでもわざとらしかったり薄っぺらかったりする人は採用しません。表情はその人の生き方や本音を語るからです。

 

採用コンサルティング会社で働いていた20代の頃、私は一見企業受けしそうな人の面談結果を5段階評価中3としました。社内の他部署のスタッフから私に何本もの電話確認が入り、「職歴は素晴らしいし、見た目も良い、企業に推薦すると一発で内定しそうだけれど、なぜこんなにあなたの評価コメントが低いの?」と質問の嵐。確かに面談中はそつの無い回答でした。ですが、どんなに素晴らしい受け答えをされてもそこに心がなければ評点は低い。と答えた私。教科書通りの優等生的発言の裏に本音は別にあることが透けて見えたので、この人材を企業に推薦するにはあまりにもリスクがあると判断したのです。

 

一見”企業受けしそう”という表層部分で動いては、多くのリスクを負う事になります。ある同僚が、人材不足で私が面談を担当した評点の低い人材を企業の人事にご紹介しました。企業人事からは即採用に返事を頂いたそうですが、その人材とはその後、連絡が取れなくなりました。私からすれば、想定内の出来事ですが、同僚は、パニックになり私に連絡をしてきました。そして、私のアドバイスを素直に聞いておけばよかった・・・・と。その後、何度か同じような出来事があり、以降、私が評点を高くつける人材は、社内で激戦になるということが頻繁に起こりました。

 

言葉無き言葉には、それなりの根拠があります。人事など人を見抜く仕事を経験されたことのある方ならこの内容に合点がゆくでしょう。言い換えると、言葉に頼らなくとも自分という人間を伝える手段は多分にあるでしょうし、第一印象は人間が本能的にその人をジャッジする貴重な情報で、その精度は大変高いと思うのです。